社内のWikiを別のツールへ移したい。そう考えていても、実際には手をつけられないまま時間が過ぎているのではないでしょうか。ページ数が数十を超えると、誰がいつやるのかが決まらず、移行の話そのものが先送りになりがちです。
この記事では、私たちがConfluenceの55ページ・8フォルダをNotionへ移行したときの手順を紹介します。AIエージェントを4つ同時に動かし、移行処理そのものにかかった時間は約8分でした。あわせて、AIでは移行できずに人の作業として残った部分も書きます。
私たちアストラルコードは、法人向けにAIを組み込んだシステムの開発と業務DXの支援を行っています。今回の移行も自社の社内ドキュメントを対象に実施したもので、記載内容はそのときの記録に基づいています。
社内Wikiの移行が「人手も時間も足りない」で止まる理由
社内Wikiの移行が止まる原因は、ページ数の多さそのものではありません。1ページごとに「移したあとの確認と手直し」が必ず発生し、その合計が現実的な工数に収まらなくなることが原因です。
標準のインポート機能だけでは終わらない
ConfluenceにもNotionにも、エクスポートとインポートの機能は用意されています。ただし、それだけで移行が完了することはほとんどありません。表のセル結合、コードブロックの言語指定、ページの親子関係、添付ファイルへのリンクといった要素は、移行先の仕様に合わせて変換される過程で形が変わったり、リンクが切れたりします。読める状態に戻すには、結局ページを開いて直す作業が必要になります。
確認と手直しがページ数のぶんだけ積み上がる
1ページあたりの手直しが10分で済んだとしても、55ページなら9時間を超えます。実務では、どのページが崩れているのかを探す時間も加わります。通常業務と並行して進める前提だと、1日に触れるのは数ページが限界で、完了までに数週間かかる計算になります。移行の判断そのものは正しくても、この工数が見えた時点で計画が止まります。
「手が空いた人が少しずつ」では着手されない
工数が読めない作業を担当者の空き時間に割り当てると、優先度は常に他の業務より下になります。結果として、移行先のツールは契約したのに中身は古いWikiに残ったまま、という状態が続きます。必要なのは、作業を小さく分けて、まとめて短時間で終わらせる進め方です。
AIエージェント4体の並列処理で55ページを移行した手順
今回の移行は、Claude CodeとNotion MCPの組み合わせで実施しました。Claude Codeはコマンドライン上で動くAIエージェント、Notion MCPはAIがNotionのページを直接作成・編集するための接続機能です。人が画面を操作するのではなく、AIがConfluenceの内容を読み取り、Notion側にページを作っていく形になります。手順は次の4ステップです。
ステップ1:対象を棚卸しし、移行先の構成を先に決める
最初にやるべきは、移行するページの一覧化と、移行先のフォルダ構成の決定です。今回は55ページを8つのフォルダに整理しました。これを先に済ませておくと、「このページをどこに置くのか」という判断が処理中に発生しなくなります。構成が決まっていない状態でAIに任せると、置き場所の判断がページごとにぶれ、結局は人が並べ直すことになります。
ステップ2:13ページで試験移行し、崩れる箇所を特定する
いきなり全ページを流さず、まず13ページだけを移行しました。目的は、どの要素が崩れるのかを事前に把握することです。今回は表とコードブロックの再現が主な確認対象でした。ここで崩れ方が分かっていれば、本番の指示に「この形式はこう変換する」という条件を追加できます。全ページを流したあとに問題が見つかると、55ページすべてをやり直すことになります。小さく試す工程は、遠回りに見えて最短です。
ステップ3:フォルダ単位で分割し、エージェント4体を並列で動かす
残りのページは、フォルダ単位で4つに分け、AIエージェントを4つ同時に起動して処理しました。1つのエージェントに全ページを順番に処理させると、そのぶん時間がかかります。担当範囲を先に分けておけば、同じページを二重に作ってしまう事故も防げます。この並列処理にかかった時間は約8分でした。数時間規模で見積もっていた作業が、実質的にその場で終わったことになります。
ステップ4:AIが移行できない要素を、人の作業として切り出す
すべてが自動で終わったわけではありません。今回、AIでは移行できなかったのは画像とmermaid形式のコードブロックの2つです。画像はConfluence側から取得できず、mermaidで書かれた図はNotion側で同じ形のまま再現できませんでした。重要なのは、これらを失敗として扱わず、最初から人の作業リストとして切り出しておくことです。AIに任せる範囲と人が引き取る範囲を分けておけば、移行全体の完了時期を予測できるようになります。

この進め方を、移行以外の社内作業に広げる
今回のやり方で再利用できるのは、ツールの組み合わせよりも進め方の部分です。一度きりの移行作業で終わらせず、他の一括作業にも同じ型を当てはめられます。
小さく試してから広げる手順は、他の一括作業にも使える
13ページで試してから残りを流すという進め方は、データの一括変換、大量ファイルのリネーム、書式の統一といった作業にもそのまま当てはまります。対象が多いほど、やり直しの損失は大きくなります。最初の1割程度を試して結果を確認してから全体を流す手順を標準にしておくと、失敗の範囲を限定できます。
AIに任せる範囲と人が持つ範囲を、着手前に線引きする
AIを使った作業で問題になりやすいのは、できない部分が終盤で見つかることです。今回のように画像や特定の図が対象外だと事前に分かっていれば、担当と期限を先に決められます。着手前に「AIが扱えないデータ形式は何か」を洗い出しておくだけで、後半の混乱は大きく減ります。
移行を機に、残す文書と捨てる文書を決める
移行は、ドキュメントを見直す機会でもあります。更新が止まっている資料や、同じ内容が複数ページに分かれている資料をそのまま移すと、新しいツールでも同じ探しにくさが再現されます。棚卸しの段階で対象から外す判断をしておけば、移行の処理量も減り、移行後の検索性も上がります。
まとめ
- 社内Wiki移行が止まる原因は、ページ単位の確認と手直しの合計工数にあります
- Claude CodeとNotion MCPを使い、55ページ・8フォルダをNotionへ移行しました
- 先に移行先の構成を決め、13ページで試験移行してから残りを流しました
- エージェント4体の並列処理により、移行処理そのものは約8分で完了しました
- 画像とmermaidのコードブロックは移行できず、人の作業として切り出しました
数十ページ規模の移行は、人手が足りないから無理なのではなく、進め方を決めていないために止まっている場合が少なくありません。まずは自社のWikiが何ページあり、どのフォルダに分けられるのかを数えるところから始めてみてください。
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対応可能なニーズ(一例)
- 社内ドキュメントの移行・整理と、その後の運用ルール設計
- 社内文書を根拠に回答するAIチャットボット(RAG)の構築
- 繰り返し発生する社内作業のAIエージェントによる自動化
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