「ドメインの更新のお知らせが、いつの間にか来なくなっていた」「サイトを作った会社と連絡が取れない」「WHOIS で調べてみたけれど、どこの会社で契約しているのか書いていない」。会社のドメイン(example.co.jp のような名前)について、こんな状態でこの記事を開いた方も多いと思います。ドメインは更新が切れると、ホームページもメールも止まります。放っておけない話です。
この記事では、WHOIS の結果から何が分かり、何が分からないのかを、.jp と .com などに分けて説明します。そのうえで、WHOIS で分からないときに管理会社を絞り込む順番と、分かったあとに名義とログインを自社に戻す手順、管理会社が倒産・廃業していたときの扱いまでをまとめました。
私たちアストラルコードは、作った人や会社がいなくなったシステムを引き取って動かし続ける仕事をしています。システムを引き取るときに必ず確かめるべきことの1つが、「ドメインがどこの会社で、誰の名義で契約され、いつ期限が来るか」です。この記事は、その確かめ方を、どなたでも使える手順にまとめたものです。
WHOIS で「管理会社」が出てこない3つの理由
結論から言うと、WHOIS で管理会社の名前が出てこないのは、調べ方が間違っているからではありません。WHOIS には、もともと「あなたの会社が実際に契約している会社」が出ない仕組みになっていることが多いのです。理由は3つあります。
.jp のドメインは、WHOIS に契約先の会社(指定事業者)が出ない
.co.jp や .jp で終わるドメインは、JPRS(日本レジストリサービス)という会社がまとめて管理しています。ただし、私たちが直接 JPRS と契約するわけではありません。JPRS と契約している「指定事業者」と呼ばれる会社を通して登録します。この指定事業者が、いわゆる「ドメインの管理会社」です。
ところが、JPRS WHOIS(whois.jprs.jp)で調べても、指定事業者の名前は表示されません。当社のドメイン(astralcode.co.jp)を 2026年11月に調べたところ、表示されたのは「組織名」「登録担当者」「技術連絡担当者」「ネームサーバ」「状態(有効期限)」などで、どの指定事業者で契約しているかの欄はありませんでした。
つまり、.jp のドメインは WHOIS だけでは管理会社が分からないのが普通です。次の章で説明する方法で、別の手がかりから絞り込みます。
.com などは「登録事業者」が出るが、実際に契約した会社とは限らない
.com・.net・.org などのドメインは、ICANN Lookup(lookup.icann.org)で調べると「Registrar(登録事業者・レジストラ)」の欄に会社名が出ます。.jp と違って、ここには会社名が出ます。
ただし、その会社と自社が直接契約しているとは限りません。ドメインの世界には「卸」と「小売り」のような関係があります。レンタルサーバーの会社や制作会社が、登録事業者からドメインを仕入れて、サーバーやホームページ制作と一緒に売っていることがよくあります。この場合、WHOIS に出るのは卸にあたる登録事業者で、自社が実際にお金を払っている会社(再販の会社)は出ません。
登録事業者に問い合わせても「お客さまの契約はこちらにはありません。ご契約の販売店にお問い合わせください」と言われることがあるのは、このためです。
公開代行で、登録者の欄が別の会社名に置き換わっている
3つ目の理由は「Whois 情報公開代行」です。ドメインを登録すると、本来は登録者の名前や住所が WHOIS に載ります。それを隠すために、登録事業者や再販の会社が自分の会社名を代わりに載せるサービスがあります。
公開代行を使っていると、登録者の欄に自社ではなく別の会社名が出ます。これを見て「このドメインは他社の名義になっている」と慌てる方がいますが、多くは公開代行の表示です。逆に言えば、公開代行の会社名は「そこが管理会社か、その卸である」という手がかりにもなります。

WHOIS に管理会社が出ないのは、仕組みのうえで当然のことです。出ないことに慌てず、WHOIS は「手がかりを集める道具」として使ってください。
WHOIS で分からないときに管理会社を絞り込む方法
管理会社は、WHOIS のヒント、お金の流れ、関係する会社への確認、の3つを組み合わせれば、多くの場合は絞り込めます。どれか1つで決めつけず、2つ以上が同じ会社を指したら、そこが管理会社だと考えてください。
WHOIS の結果から読み取れるヒント
WHOIS で管理会社の名前が出なくても、次の欄はヒントになります。
- ネームサーバ:ドメインの案内役(DNS)をどこの会社が担っているかを示します。たとえば当社のドメインでは「ns-a1.conoha.io」のように、サーバー会社の名前を含むネームサーバが出ました。ドメインもその会社で取っていることが多く、最初の候補になります。ただし、DNS だけ別の会社に任せている場合もあるので、これだけで決めつけないでください。
- 状態と有効期限:JPRS WHOIS の .co.jp では「状態」の欄に「Connected (2027/01/31)」のように出て、かっこの中が有効期限です。ICANN Lookup では「Expiration Date」の欄です。
- ロックの表示:ICANN Lookup の「Status」の欄に「client transfer prohibited」とあれば、今の会社が他社への移管を止める設定をしています。勝手に移管されないための設定で、移管するときに今の会社に外してもらいます。
- 登録者・連絡先の欄:公開代行の会社名や、連絡先のメールアドレスのドメインが、再販の会社の手がかりになります。

お金の流れから探す
いちばん確実なのは、お金の流れです。ドメインは年に1回の更新が多いので、1年分以上さかのぼって探します。
- 経理の記録とカードの明細:「ドメイン」「サーバー」「ホスティング」「保守」といった名目の支払いを探します。ドメイン代は年に1回だけのことが多く、金額も小さいので見落としやすい点に注意してください。
- メールの受信箱:代表アドレスや前任者のアドレスを、ドメイン名、「更新」「有効期限」「お支払い」で検索します。更新のお知らせが見つかれば、送り主が管理会社です。
- 制作会社への支払い:見積書や請求書に「ドメイン管理」「サーバー代行」とあれば、制作会社がドメインをまとめて契約している可能性が高いです。
サーバー会社や制作会社に「ドメインもそちらで契約していますか」と聞く
ネームサーバやお金の流れから候補が見つかったら、その会社に直接聞きます。聞き方は「当社のドメイン(ドメイン名)は、御社で契約していますか。契約している場合、名義と有効期限を教えてください」で十分です。
このとき、契約者本人であることの確認を求められることがあります。会社の登記の内容と同じ社名・住所で問い合わせ、登記事項証明書、当時の契約書や申込書、支払いの記録など、自社が登録者だと示せるものを手元にそろえておくと話が早く進みます。契約時のメールアドレスが分かれば、それも添えてください。
それでも分からないときは、登録事業者に登録者として問い合わせる
.com などのドメインなら、WHOIS に出た登録事業者に、登録者として問い合わせます。再販の会社を通した契約なら「ご契約の販売店にお問い合わせください」と案内されることがありますが、その返事自体が「再販の会社がある」という手がかりになります。.jp のドメインなら、ネームサーバの会社や、サイトを作った会社に、上の聞き方で順に確かめていきます。
なお、昔の Q&A などでは「新しい会社に移管を申し込めば、今の管理会社に連絡が行くので分かる」という方法が紹介されていることがあります。しかし今は、.com などでも .jp でも、移管の申し込みには今の管理会社が発行する認証コード(AuthCode)が必要です。管理会社が分からない段階では、この方法は使えないと考えてください。

手がかりは1つより2つ。WHOIS のネームサーバと支払いの記録が同じ会社を指していれば、まずそこに問い合わせてください。
管理会社が分かったら、名義とログインを自社に戻す
管理会社が分かったら、次にやることは「期限を守る」「名義を自社にする」「ログインを自社で持つ」の3つです。移管(管理会社を変えること)は、そのあとで考えても間に合います。
まず有効期限を確かめ、切れそうなら先に更新する
最初に有効期限を確かめてください。期限が近いのに名義や移管の話から始めると、手続きの途中で期限が切れることがあります。切れそうなら、今の管理会社のままで、まず更新を済ませます。
期限が切れたあとの扱いは、ドメインの種類で違います。
- .com などの場合:ICANN のルールでは、登録事業者は期限のおよそ1か月前と1週間前に案内を送ることになっています。期限が切れると、ホームページやメールが止まる期間があり、その後に削除されても30日間は取り戻せる期間(Redemption Grace Period)があります。ただし、取り戻すには通常の更新とは別の費用がかかることが多く、案内のメールが前任者のアドレスに届いていれば誰も気づきません。
- .jp・.co.jp などの場合:JPRS の規則では、廃止の翌日から20日間に限り、元の登録者が申請すれば登録を回復できます。この申請は、原則として廃止したときの管理会社(指定事業者)を通して行います。つまり、管理会社が分からないままだと、回復の申請先にも困ります。20日を過ぎると記録が消され、一定の期間が過ぎたあとは他の人が同じドメインを登録できるようになります。
どちらの場合も、取り戻せる期間があるから大丈夫、とは考えないでください。その間はサイトやメールが止まり、取引先からのメールも届きません。
登録者(名義)を自社にする
次に、WHOIS や管理会社の画面で、登録者が誰になっているかを確かめます。制作会社の名義になっている場合は、自社の名義に変えてもらいます。
名義が制作会社のままだと、困ることが2つあります。1つは、管理会社に問い合わせても「登録者ご本人からでないとお答えできません」と言われ、自社では何も手続きできないことです。もう1つは、制作会社が廃業したり、関係が悪くなったりしたときに、ドメインを自社のものとして扱えないことです。汎用 JP の規則では、登録者を別の人に変える「ドメイン名の移転」は、今の登録者と新しい登録者が合意していることが前提になっています。今の名義人の協力がないと進められないので、関係が続いているうちに変えておくのが安全です。
名義人の制作会社が返事をしない、名義の変更に応じない、という場合は、依頼の内容と日付を書面やメールで残してください。そのうえで、ドメインの管理会社に「登録者が別の会社になっているが、実際に使い、費用を払ってきたのは自社だ」と事情を伝えて、取れる手続きを相談します。話がこじれたときは、契約書や支払いの記録を持って弁護士に相談することも考えてください。
あわせて、管理画面のログイン情報も自社で受け取ってください。名義が自社でも、ログインできる人が社内にいなければ、更新も設定の変更もできません。
管理会社を変える(移管)
今の管理会社の対応が遅い、サーバーと一緒に他社へまとめたい、という場合は、管理会社を変える「移管」を考えます。流れはおおむね次のとおりです。
- 名義を自社にし、WHOIS の連絡先メールが自社で受け取れることを確かめる(移管の承認のメールがここに届くことがあります)
- 今の管理会社に、移管のロックを外してもらう
- 今の管理会社から認証コード(AuthCode)を受け取る(.com なども .jp も必要)
- 移管先の会社で移管を申し込み、認証コードを入れる
- 届いた確認に、登録者として承認する
.jp のドメインでは、登録者を変えずに管理会社だけを変える手続きを「指定事業者の変更」と呼び、登録者を変える「ドメイン名の移転」とは別の手続きです。.jp でも認証コードの仕組みが 2022年11月に入り、2023年11月からは指定事業者の変更のすべてで必要になりました。また JPRS は 2020年12月から、勝手に管理会社を変えられないようにするロックの仕組みも入れています。.jp の認証コードは、発行の翌日から数えて35日で切れ、切れたら今の管理会社に取り直してもらう必要があります。受け取ったら早めに、移管先の会社の案内に沿って申し込んでください。必要な書類は会社によって違います。

管理会社が倒産・廃業していたとき
管理会社が倒産・廃業していても、ドメインがすぐに消えるわけではありません。ただし、自分から動かないと失うことがあります。
- .jp の場合:汎用 JP の規則では、指定事業者が JPRS との契約を終えると、JPRS が指定した会社(やむをえない場合は JPRS 自身)がいったん管理を引き継ぎます。登録者は、JPRS が決めた期間のうちに新しい指定事業者を選んで届け出ます。期間内に届け出がないと、そのドメインは廃止の届けを出したものとみなされます。JPRS からの案内は登録者の連絡先に届くので、その連絡先が古いままだと気づけません。
- .com などの場合:登録事業者が ICANN の認定を失ったときは、ICANN が選んだ別の登録事業者にドメインがまとめて移されます。これまでの ICANN の発表では、有効期限は変わらず、移す費用もかからないとされています。新しい登録事業者から案内が届くので、それに沿って管理を続けるか、別の会社へ移管します。
- 再販の会社だけが廃業した場合:卸にあたる登録事業者は残っているので、登録事業者に連絡して、登録者として手続きを相談します。このとき、名義が自社かどうかで、話を進められるかが大きく変わります。

ドメインの台帳を作っておく
最後に、分かったことを1枚の台帳にまとめておきます。担当者が代わっても、この1枚があれば同じことで困りません。

台帳でとくに大事なのは「更新案内の届け先」です。前任者の個人アドレスではなく、社内の誰かが必ず見る共有のアドレスにしておくと、更新の見落としを防げます。
管理会社が分かったら、期限→名義→ログイン→(必要なら)移管の順で進めてください。この順番を守れば、手続きの途中で期限切れを起こす危険を小さくできます。
まとめ
- WHOIS に管理会社が出ないのは普通のこと。.jp は指定事業者が出ず、.com などは卸にあたる登録事業者しか出ない。公開代行で登録者の欄が別の会社になっていることもある
- 絞り込みは、WHOIS のヒント(ネームサーバ・期限・ロック)、お金の流れ、候補の会社への確認の順。2つ以上の手がかりが同じ会社を指したら確定する。「移管を申し込めば分かる」は、認証コードが要る今は使えない
- 分かったら、まず有効期限を確かめ、切れそうなら今の会社で先に更新する
- 名義とログインを自社に戻す。名義の変更は今の名義人の協力が要るので、関係が続いているうちに済ませる
- 移管は最後。ロックを外し、今の管理会社から認証コードを受け取ってから申し込む(.jp も 2023年11月からはすべて認証コードが必要。.jp では「指定事業者の変更」と呼ぶ)
- 管理会社が倒産・廃業しても、すぐには消えない。ただし案内が届く連絡先が古いと、期限内に動けずに失うことがある
まずは JPRS WHOIS か ICANN Lookup で、自社のドメインの有効期限とネームサーバを確かめてください。数分でできます。サーバー・メール・ホームページの中身まで含めて調べたい場合は、「サーバーの管理会社がわからないときの調べ方」もあわせてご覧ください。
ドメイン・サーバー・メールの「誰の名義で、いつ切れるか」を点検します
「調べてみたが、名義が誰なのか分からない」「管理会社と連絡が取れない」「期限が近いのに、どこから手を付ければよいか判断がつかない」。そんなときは、ご相談ください。
アストラルコードでは、点検(15万円(税別)・2週間・報告書つき)をご用意しています。ドメインだけでなく、サーバー・メールについても、契約先・契約の名義・ログイン情報の所在・更新の期限をまとめて調べ、どこに危険があり、何から手を付ければよいかを報告書にしてお渡しします。点検の結果をもとに、名義の変更や移管、保守をご依頼いただくかどうかは、そのあとで決めていただけます。
作った人や会社がいなくなって「中身が分からない」という段階から、お気軽にご相談ください。



