ホームページのリニューアルを考え始めたとき、または「サーバーの契約更新のお知らせ」が届いたとき。そこで初めて「うちのサーバーって、どこの会社が管理しているんだっけ?」となることがあります。サイトを作った会社とは何年も連絡を取っておらず、前の担当者はもう退職している。社内に聞いても誰も分からない。そんな状況でこの記事を開いた方も多いと思います。
この記事では、社内の書類と、誰でも無料で使える調べ方(WHOIS と DNS)を組み合わせて、ドメイン・サーバー・メール・サイトの中身がそれぞれどこの会社で契約されているかを特定する手順を説明します。あわせて、分かったあとに相手に何を頼めばよいか、相手と連絡が取れないときに何から進めればよいかもお伝えします。
私たちアストラルコードは、作った人や会社がいなくなったシステムを引き取って動かし続ける仕事をしています。この記事では、システムを引き取るときに確かめる「ドメイン・サーバー・メールが誰の名義で契約され、ログイン情報がどこにあるか」の調べ方を、手順としてまとめました。
「サーバーの管理会社」は1社とは限らない
最初に知っておいてほしいのは、「サーバーの管理会社」を1社だけ探しても、答えにたどり着かないことがある、という点です。ホームページやメールは、いくつかのサービスを組み合わせて動いており、それぞれ別の会社と契約していることがよくあります。
ドメイン・サーバー・メール・サイトの中身は別々に契約されていることが多い
ホームページが表示され、メールが届くまでには、次の4つが関わっています。
- ドメイン:example.co.jp のような「住所」にあたる名前。登録事業者(レジストラ)と呼ばれる会社を通して、年ごとに更新します。
- DNS(ディーエヌエス):ドメインと、実際のサーバーを結びつける案内表です。「ホームページはこのサーバー、メールはこのサーバー」という情報を持っています。ドメインの会社が提供していることもあれば、サーバー会社や別のサービスが提供していることもあります。
- サーバー:ホームページのファイルや仕組みが置いてある場所です。レンタルサーバーやクラウドの会社と契約します。
- メール:@example.co.jp のメールを受け取る仕組みです。サーバー会社のメール機能を使う場合と、Google Workspace や Microsoft 365 など別のサービスを使う場合があります。
このほかに、サイトの中身を更新するための CMS(WordPress などの管理画面)があります。たとえば「ドメインは A 社、サーバーは B 社、メールは Google、サイトの更新は制作会社に依頼」という組み合わせは珍しくありません。

「契約している会社」と「作業している会社」が別のこともある
もう1つ分けて考えたいのが、「どこの会社のサービスを使っているか」と「誰が契約し、誰が作業しているか」です。
よくあるのは、サーバー会社のサービスを使っているものの、契約の名義は制作会社で、自社は制作会社に毎月の保守費を払っているだけ、という形です。この場合、サーバー会社に問い合わせても「契約者ご本人からのご連絡でないとお答えできません」と言われます。逆に、名義は自社なのに、ログイン情報を制作会社だけが持っていて、社内の誰も管理画面に入れないこともあります。
ですから、調べるときは「会社名」だけでなく、「契約の名義は誰か」「ログイン情報を誰が持っているか」も一緒に確かめてください。この2つが分かると、次に誰に何を頼めばよいかがはっきりします。
管理会社を特定する4つの確認
ここからは、実際の調べ方です。上から順に進めると、多くの場合はドメイン・サーバー・メールの契約先の見当がつきます。どれも無料で、特別なソフトはいりません。

確認1:社内の書類を探す
いちばん確実なのは、お金の流れを追うことです。契約がある以上、どこかで料金を払っています。次のものを探してください。
- 経理の記録:「サーバー」「ドメイン」「ホスティング」「保守」といった名目の支払い。年に1回だけの支払いも多いので、1年分以上さかのぼります。
- 会社のクレジットカードの明細:レンタルサーバーやドメインは、カードで自動更新されていることがあります。
- メールの受信箱:代表アドレスや前任者のアドレスを「更新」「契約」「お支払い」「ドメイン」「サーバー」で検索します。更新のお知らせや、契約時の「アカウント情報のご案内」が見つかることがあります。
- 制作会社との契約書や見積書:「サーバー代行」「ドメイン管理代行」などの項目があれば、制作会社が名義を持っている可能性が高いです。
前任者のメールアドレスがすでに消されていても、管理者に頼めば復元できる場合があります。消す前のデータが残っていないか、社内のシステム担当や IT の委託先に聞いてみてください。
確認2:WHOIS でドメインの登録先を調べる
WHOIS(フーイズ)は、ドメインの登録情報を誰でも調べられる仕組みです。ドメインの種類によって使うサイトが違います。
- .jp で終わるドメイン(.co.jp や .jp など):JPRS WHOIS(whois.jprs.jp)で調べます。
- .com・.net・.org などのドメイン:ICANN Lookup(lookup.icann.org)で調べます。
JPRS WHOIS では、.co.jp の場合は「組織名」「ネームサーバ」「状態」が表示されます。「状態」の欄は「Connected (2027/01/31)」のように書かれていて、かっこの中の日付が有効期限です。.jp の場合は「登録者名」と「有効期限」の欄があります。

ただし、.jp の WHOIS には「どの登録事業者で契約しているか」は表示されません。その場合は、次の確認3で調べるネームサーバの名前と、確認1の請求書を合わせて見当をつけます。
ICANN Lookup では、「Registrar(登録事業者)」の欄に契約先の会社名が、「Expiration Date」の欄に有効期限が出ます。こちらは登録事業者の名前がそのまま分かります。

なお、登録者の欄に自社ではなく登録事業者の名前が出ることがあります。これは「Whois 情報公開代行」という、登録者の情報を隠すサービスを使っているためです。この場合も、少なくとも登録事業者は分かります。登録者が自社なのか制作会社なのかは、登録事業者の管理画面か、確認1の書類で確かめます。
確認3:DNS からサーバーとメールの会社を推定する
次に、DNS に登録されている情報を見ます。見るのは次の3つです。
- ネームサーバ(NS):DNS の案内表をどこが持っているか。たとえば「ns1.〇〇.ne.jp」のように、会社のドメイン名が入っていることが多く、そこから会社が分かります。
- A レコード:ホームページを表示するサーバーの IP アドレス(ネット上の番地)。IP アドレスを WHOIS で調べると、そのアドレスを持っている会社が分かります。
- MX レコード:メールを受け取るサーバー。「aspmx.l.google.com」なら Google Workspace、「〜.mail.protection.outlook.com」なら Microsoft 365 です。サーバー会社の名前が入っていれば、そのサーバー会社のメール機能を使っています。
Windows なら、コマンドプロンプトを開いて次のように入力すると調べられます。コマンドが苦手な方は、検索サイトで「DNS 確認ツール」と探すと、ドメインを入れるだけで同じ情報を表示してくれる無料のサイトがあります。たとえば aguse(aguse.jp)にサイトの URL を入れると、IP アドレスと「逆引きホスト名」が表示されます。逆引きホスト名は IP アドレスに付いている名前で、「〜.〇〇.ne.jp」のようにサーバー会社のドメインが入っていることが多いため、サーバー会社の見当がつきます。
- nslookup -type=NS example.co.jp(ネームサーバ)
- nslookup example.co.jp(A レコード)
- nslookup -type=MX example.co.jp(メール)

ここで分かるのは、あくまで「どこのサービスを使っているか」です。契約の名義が誰かまでは分かりません。名義は、確認1の書類か、その会社への問い合わせで確かめます。
確認4:サイトの中身と管理画面の場所を確かめる
最後に、サイトの中身が何で作られているかを確かめます。リニューアルや更新を誰かに頼むとき、まず聞かれるのがこの点だからです。
- ページの上で右クリックして「ページのソースを表示」を開き、「wp-content」という文字があれば WordPress で作られています。管理画面は多くの場合「ドメイン/wp-admin/」です。
- WordPress 以外の CMS や、制作会社が独自に作った仕組みの場合もあります。そのときは、管理画面の URL とログイン情報を誰が持っているかを確かめます。
管理画面に入れる人が社内に1人もいない場合は、その事実もメモしておいてください。あとで制作会社に頼むときの大事な項目になります。
調べた結果を1枚の表にまとめる
確認1〜4で分かったことは、1枚の表にまとめます。項目ごとに「会社」「契約の名義」「ログインできる人」「更新の期限」を並べるだけで、どこが分かっていて、どこが分かっていないかが一目で見えます。


空欄や「不明」が残っていても大丈夫です。分からない場所がはっきりすれば、誰に何を聞けばよいかが決まります。この表は、あとで業者に相談するときにもそのまま渡せます。
分かったあとにやること、連絡が取れないときの進め方
契約先の見当がついたら、次は自社で管理できる状態に戻していきます。順番を間違えると取り返しがつかないこともあるので、上から順に進めてください。
いちばん先に守るのはドメインの更新期限
まず、まとめ表の「更新の期限」を見て、ドメインの期限がいつかを確かめてください。いちばん急ぐのはドメインです。
サーバーは、契約が切れても別の会社で作り直すことができます。しかしドメインは、更新されないまま期限を過ぎると、一定の猶予期間のあとに削除され、他の人が取れる状態になることがあります。猶予の長さはドメインの種類や登録事業者によって違います。一度他人に取られると、そのドメインのホームページもメールも取り戻せません。
期限まで3か月を切っているなら、名義の話より先に「期限までに必ず更新してほしい」と、今の管理者に連絡してください。
触る前にバックアップを取り、変える順番を守る
契約先が分かっても、すぐに設定を変えたり解約したりしないでください。先に今の状態を手元に残し、名義と接続先がすべて分かってから動かすのが安全です。
理由は、ドメイン・DNS・サーバー・メールがつながっているからです。1か所を変えると、思わぬところが止まります。たとえば、サイトを新しいサーバーに移すつもりでネームサーバを切り替えたところ、MX レコード(メールの行き先)を新しい側に登録し忘れていて、会社のメールが届かなくなる、ということが起きます。
- 先にバックアップを取る:サイトのファイル、データベース(WordPress なら記事や設定が入っている部分)、サーバー会社のメールを使っているならメールのデータを、手元に保存します。管理画面に入れない場合は、今の管理者にバックアップを頼みます。
- 分かるまで変えないもの:ネームサーバと DNS の設定、古いサーバーの契約(解約しない)、メールの設定(消さない)。
- 変えるときの順番:まとめ表がすべて埋まり、移す先の準備ができてから、DNS を切り替えます。切り替えたあと、サイトの表示とメールの送受信を両方確かめてから、古い契約を解約します。
まずは「残す」、次に「分かるまで変えない」。この順番を守れば、調べている途中でサイトやメールが止まる心配はほとんどなくなります。
管理会社・制作会社に頼むこと
連絡がつく相手が見つかったら、次の4つを頼みます。
- 契約の名義を自社に変える:ドメインとサーバーの契約者を、制作会社から自社に変えてもらいます。名義が自社なら、相手がいなくなっても自社で更新や移転ができます。
- ログイン情報を受け取る:ドメイン・サーバー・メール・CMS の管理画面に入るための情報です。受け取ったら、社内の決まった場所に保管し、パスワードは変えておきます。
- 移管に必要な認証コードを受け取る:ドメインを別の登録事業者に移すときに必要になるコードです(AuthCode などと呼ばれます。.jp では手続きが違う場合があるので、登録事業者に確かめてください)。すぐに移すつもりがなくても、手順だけは確かめておきます。
- 更新のお知らせの届け先を変える:ドメインやサーバーの更新案内が、退職した人や制作会社の担当者のアドレスに届いていることがよくあります。代表アドレスなど、担当者が代わっても読めるアドレスに変えてもらいます。

頼むときは、メールなど記録が残る形で送ります。電話だけで済ませると、あとで「聞いていない」となったときに確かめようがないためです。
相手が反応しないときの順番
制作会社と連絡が取れない、返事が来ない、という場合は、次の順番で進めます。
- 記録が残る形で依頼する:メールに加えて、契約書にある住所へ書面を送ります。回答の期限も書いておきます。
- 登録事業者やサーバー会社に問い合わせる:名義が自社なら、登録事業者やサーバー会社に直接問い合わせて、ログイン情報の再発行を頼めます。名義が制作会社の場合は、名義人の同意が必要になることが多く、この段階で止まりやすい点に注意してください。
- 作り直しを考える:名義もログインも取り戻せない場合は、新しいドメインとサーバーで作り直すことも選択肢になります。費用と手間はかかりますが、期限の切れたサイトを待ち続けるより早いこともあります。

自社で抱えきれないときの依頼先の選び方
社内に詳しい人がいない場合は、外部に頼むことになります。そのときは、次の点で選ぶと失敗しにくくなります。
- 調べた結果を報告書で渡してくれるか:口頭の説明だけだと、また次の担当者が分からなくなります。
- 名義を自社に戻す方針か:新しい業者が自分の名義で契約し直すと、同じことがくり返されます。
- 調べる作業と、直す・作り直す作業を分けて見積もってくれるか:まず現状を知ってから、何を頼むかを決められるほうが安心です。
サーバーの管理会社が分からないという悩みは、技術よりも「誰が何を持っているか」の記録がないことから起きます。一度まとめ表を作り、名義とログインを自社に戻しておけば、担当者が代わっても困らなくなります。
まとめ
- 「サーバーの管理会社」は1社とは限らない。ドメイン・DNS・サーバー・メール・CMS を分けて考え、会社だけでなく名義とログインできる人も確かめる
- 調べ方は4つ。社内の書類、WHOIS(.jp は JPRS、.com などは ICANN Lookup)、DNS(ネームサーバ・A・MX)、サイトの中身と管理画面
- 分かったことは1枚の表にまとめる。「不明」の欄が、次に聞く相手を教えてくれる
- いちばん先に守るのはドメインの更新期限。触る前にバックアップを取り、名義と接続先が分かるまで DNS や契約を変えない
- 管理会社には、名義の変更・ログイン情報・認証コード・更新のお知らせの届け先の変更を頼む
- 相手が反応しないときは、書面→登録事業者・サーバー会社→作り直しの順で進める
まずは確認1の「社内の書類」と、確認2の WHOIS から始めてください。どちらも今日、数分でできます。
ドメイン・サーバー・メールの「誰が何を持っているか」を点検します
「調べてみたが、名義が誰なのか分からない」「制作会社と連絡が取れず、ログイン情報が手元にない」「どこから手を付ければよいか判断がつかない」。そんなときは、ご相談ください。
アストラルコードでは、点検(15万円(税別)・2週間・報告書つき)をご用意しています。ドメイン・サーバー・メール・CMS について、契約先・契約の名義・ログイン情報の所在・更新の期限をまとめて調べ、どこに危険があり、何から手を付ければよいかを報告書にしてお渡しします。点検の結果をもとに、引き継ぎや保守をご依頼いただくかどうかは、そのあとで決めていただけます。
作った人がいなくなったシステムの「中身が分からない」という段階から、お気軽にご相談ください。



